CfIC創業者が分析する日本における英語教育業界の状態
出身地を尋ねられた時、私は「フランス」あるいは「パリ」と答えますが、実際にはほとんどヨーロッパ人だと感じています。
ヨーロッパは、狭い国土に多様な言語と文化が共存し、歴史的にも互いに影響し合ってきた地域です。パリから2時間のフライトで10カ国、6言語が飛び交います。もちろん、ヨーロッパのアイデンティティ(イギリス人、ドイツ人、フランス人、イタリア人など)はそれぞれユニークで異なりますが、ある意味、存在するためにお互いが必要なのです。フランス人であることは、イギリス人よりも食べ物がおいしく(すみません!)、ドイツ人よりも柔軟で(すみません!)、イタリア人よりも勤勉である(またすみません!)ことを意味するのです。
したがって、私の世代のヨーロッパ人(つまり、ヨーロッパのほとんどで国境管理がなく、通貨も統一されている中で育った人)は、大人になるまでに外国人と接し、外国語を話す経験を多くしています。ヨーロッパ人にとって、外国人とコミュニケーションをとるということは、とても実践的で当たり前のことなのです。例えば、私が9歳くらいの時にドイツの親戚を訪ねた時のことです。共通語はありませんでしたが、ジェスチャーや顔の表情を使って従兄弟とうまくコミュニケーションをとることができました。親には悪いけれど、顔に食べ物をくっつけて大笑いしたこともありましたね。
その結果、多くの人がカタコトの英語を話すにもかかわらず、ほとんどのヨーロッパ人は、自分が流暢に話せない言語でもコミュニケーションできることに自信を持っているのです。彼らは完璧に話すことを気にしていません。どんな手段を使ってでも、意味を伝えようとするのです。ヨーロッパでは、英語での求人に応募する際にTOEICのスコアを提示する必要がほとんどありません。英語で履歴書を提出し、英語で面接を受けることができれば、十分なコミュニケーションがとれ、仕事上のニュアンスを学ぶことができると考えられているのです。
それと比べて、日本ではどうでしょうか。外国語で外国人と接する機会が少ないため、大多数の日本人にとって、英語は未だ非常に理論的なもののままになっています。一言も英語を話さなくても、非常に成功したキャリアを築くことができます(なにしろ、いつでも翻訳者を雇えるのですから!)しかし、私の経験では、日本では英語の知識が驚くほど豊富です。私は多くの日本人に会ったが、自分は「初心者だ」とか「話すのが苦手だ」と言いながら、英語を読んだり理解したりする能力は非常に高いのです。
日本では英語でコミュニケーションする機会がほとんどないことを考えると、驚くのは流暢に話せないことではなく、想像よりも英語をよく知っていて、多くの文章を理解し、話せる人が多いことです。
例えば、日本のTOEICの点数が「低い」ことがよくメディアで取り上げられますが、英語に近い構造を持っている他の言語が母国語な人たちの点数と比べられているのは不利だと感じます。それに逆には、私個人の見解では、英語が母国語で日本語を流暢に話す人にあまり会ったことがないのです!
日本人の英語にまつわるあらゆる判断や失敗の感情には、何か不公平で不正確なものがあると感じます。
2020年のTOEIC公式スコアランキングを改めて見てみると、日本より高いスコアを獲得している国は2つに分かれます。まず、アルジェリア、カメルーン、モロッコなどの途上国群です。しかし、これらの国では、主に高学歴のエリート層がTOEICを受験しており、旅行などで英語を使う機会も多いことが予想されます。したがって、この平均値は「国別スコア」として表示されているが、成績優秀者に偏っている可能性が高いのです。
次に、先進国にはフランス、ドイツ、イタリアなどがあるが、これらの国の母国語は英語に近いため、日本との比較は無効であるように思われます。また、韓国は683点で、日本の531点と比較しています。この差を説明は興味深いので、またの機会にしましょう。
実際のところ、日本の学習者はかなり頑張っているのです。多くの日本人が見せる英語に対する勉強熱心さや好奇心など、何も恥じることはないどころか、むしろ賞賛されるべきことがたくさんあるのです!しかし、学習者が英語に自信を持つためには、主に3つのハードルがあります。
コミュニケーションよりも「正しいこと」を重視し、英語をつまらなくしてしまうような、語学学習には向かない伝統的な教育習慣。しかし、この点は政府もよく認識しており、改革が進んでいます。
外国人に対する親近感のなさ。日本における外国人は、どこか神秘的な生き物のように見られており、どう接すれば良いのか等、多くの悩みをもたらすことで、円滑なコミュニケーションへの様々なハードルを生み出してしまいます。
文化に起因するコミュニケーションスタイルの深い違い。コミュニケーションには、それぞれの文化に応じたルールや コミュニケーションの上で期待されることがあります。アメリカ人やヨーロッパ人と日本人のコミュニケーションスタイルの違いは、誤解を生み、日本人が不利になる傾向があります。
まとめると、日本で「英語の問題」があるとすれば、上記の3つの理由の結果、ほとんどの日本人が、学校で退屈したり、外国人に誤解されたりと、英語に対して悪い経験をしてきたということでしょう。それ以外の点では、読解力であれ、TOEICのスコアであれ(注意:コミュニケーション能力を測るものではない)、日本人の英語力は実は驚くべきものです。
CfICのメンバーにも冗談で言っていますが、50年後の国際語は中国語になっているかもしれないというのが、日本人にとっての明るい兆しなのかもしれません。その時、国際語を学ぶ上で、日本語を話す方は英語を話す方に比べて有利になるでしょう。その際、英語ネイティブがどうなっているか、見ものですね!
幸いなことに、CfICは、上記の3つのポイントに挙げたような国際語習得の心理的ハードルを克服に努めているため、国際語がどの言語かに関わらず、円滑な異文化間コミュニケーションを促すことを目指し、情熱を持って日本のプロフェッショナルを支援する大好きな仕事を続けられることができています!
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